テレ朝の「グッドモーニング」での「林先生のことば検定」が興味深かったので取り上げてみました。
ヤン・ヨーステンとやえす(八重洲)
平成元年の4月20日、東京中央区に「ヤン・ヨーステン記念碑(日蘭修好380周年記念碑)」が設置されました。
オランダ人のヤン・ヨーステン(1556?~1623)は西暦1600年に日本に漂着した後、徳川家康の側近となり外交顧問として活躍した人物です。
彼の名前に由来する地名が東京にあります。
それは、やえす(八重洲)です。
オランダは江戸時代の幕府の数少ない貿易相手のひとつですから、オランダから伝わったものもたくさんあります。
そこで問題です
3つの中でオランダ語に由来する言葉はどれでしょうか?
青 コンソメ
赤 ウスターソース
緑 ポン酢
正解は?
今日の緑はボケていません。
青のコンソメの語源はフランス語です。consommé(e) 「完成された」という意味でスープの名称です。
赤のウスターソースのウスターとはイングランドのウスターシャ地方のこと。
ソースはラテン語でsalsus(サルスス) 「塩をした」という意味です。
つまりウスターソースとはウスターシャ地方のソースのこと。
緑のポン酢の「酢」は後から当てられた字です。
もともとはpons(ポンス)でした。
pons(ポンス)は江戸時代に長崎・出島でオランダ人の船員よくが飲んでいた柑橘類を使用したホットカクテルのことなのです。
ということで正解は緑 ポン酢
ポン酢とフルーツポンチ
ちなみにpons(ポンス)は、フルーツポンチの「ポンチ」と語源が同じです(ただし、現在オランダでは別の意味で使用されています。使われていないかも)
日本ではpons(ポンス)つまり柑橘類のホットカクテルをもとに調味料が作られました。
ですからもともとのポン酢に酢は入っていなくて、「酸っぱいもの」という意味でこの字が当てられたようです。
ポン酢の語源は中国から?
ただし、ポン酢の語源は中国の「ポンカンを搾った酢」から由来しているとするほうが自然なのでは?とする考えもあるようです。
椪柑酢(peng gan cu)ポンカンツ :ポンカンを搾った酢
ポン酢の語源についてWikipediaでも
狭義のポン酢(ポンス)は、レモン・ライム・ダイダイ・ユズ・スダチ・カボスなど柑橘類の果汁に酢酸を加えて味をととのえ、保存性を高めたものである。
Wikipedia
とあります。
クックパッドでポン酢の作り方を調べてみると、柑橘類の果汁(レモンが多い)に酢と醤油やだし汁を加えているレシピが多いです。
酢を加えないものもいくつかありますね。
もし語源がオランダ語ではなく中国語だとすると、柑橘類から酢を作ることになるのではないでしょうか。
つまり、リンゴ酢やワインビネガーのような果実酢と同様なのではないかと想像できます。
というかなぜ柑橘類で酸っぱいのにさらに食酢にするんだろう?なぞ。
もし、pons(ポンス)が語源だとすると、「柑橘類の果汁が酸っぱいので酢の代わりに食品にかけたら美味しかった。で、そのうち果汁だけじゃ細やかな味を出せないからだし汁や醤油を足し始めた。」
なんて考えるほうが今のポン酢が出来上がりそうな気もします。
日本古来の酢の使い方
日本で酢は魚を食べる際の調味料だったようです。
その後、鱠(なます)が作られ、他の調味料とともに酢が庶民へと広がるとともに合わせ酢が増えていったのです。
また、なれすしから握り寿司が考え出された頃、酒粕を原料に粕酢の大量生産が始められて酢が大勢の食卓に上るようになっていったようです。
合わせ酢とは酢に他の調味料などを加えたもので三杯酢とか酢味噌などですが、そこに酸っぱいものと酢を合わせているものはなさそうです。
そうすると「ポンカンを搾った酢」に俄然興味が湧きますが、今回はここまでにしておきます。
酢は何気に良く使う調味料で、特にポン酢は何にでも合うのだということが再確認できました。
ところで食事を意味する「飯(まま)」の語源を知っていますか?
追記(2017年8月)
ポン酢の起源が「オランダ人が飲んでいたpons(ポンス)というホットカクテルのこと」だと書きましたが、pons(ポンス)はインドからオランダに伝わったもののようです。
インドのパンチャという蒸留酒とレモン汁、砂糖、香辛料や紅茶などが入った飲み物がオランダに伝わった際に読み方が変化してpons(ポンス)となったということです。
ヒンディー語でパンチャとは数字の5を指す言葉なので5種類の材料で作られているのかもしれませんね。
いつか飲んでみたい!