ANA37便が日航ジャンボ機墜落事故と同じスコーク7700で緊急着陸

ボーイング777

ボーイング777

2017年8月12日、羽田発伊丹行きの全日空(ANA)37便が緊急着陸したことがニュースになりました。

8月12日午後6時半ころ、羽田空港発-大阪伊丹空港行きの全日空(ANA)37便ボーイング777-200型機が、緊急事態であることを表す「スコーク7700」を宣言し、羽田空港に引き返して緊急着陸しました。
全日空(ANA)37便の機内からは空気が徐々に外に漏れだし、機内の気圧が緩やかに低下していたとみられています。

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ANA37便のトラブル

ANA37便は12日18時に東京・羽田空港を出発し、19時10分に大阪・伊丹空港に到着する予定でしたが、18時30分ごろ、伊豆大島上空をフライト中に機内の気圧システムに異常が発生したため、羽田空港に引き返すことを機長が決断、51分ごろに無事、緊急着陸したということです。
全日空が機体を調べたところ、車輪を収納するスペースにあるダクトが壊れていたことがわかりました。
このダクトは空気が通るものであり、それが壊れたために機内の空気が徐々に外に漏れ、機内の気圧が緩やかに低下していたとみられています。

機内の様子

機内では機長の判断で酸素マスクを下ろしたとのことで、酸素マスクが下ろされた画像がツイッターに多く載せられていますね。
「酸素マスクの下ろされる音が大きくてびっくりした」との声もありました。
このトラブルで乗客・乗員273人にケガはありませんでしたが、2人が気分が悪いと訴えたそうです。
乗客によると、いきなり急降下したあと、さらに急旋回して空港に戻って行ったということです。
機長からは「油圧計のトラブル」との説明があるだけで、具体的な説明はなかったとのこと。
また、乗客の問いに対応しているCAの声が震えていたらしいです。

話題になった緊急着陸

「スコーク7700」は意外にも頻繁にあるようで、事故を回避したので「単なる飛行機トラブル」で片付けられてもよさそうな「緊急着陸」ですが、なぜ話題になっているのかというと「日航ジャンボ機墜落事故」との共通点が多くあったからなのです。

共通点

  • 日にち 8月12日(日航ジャンボ機墜落事故は32年前)
  • 空港 羽田空港
  • 目的地 伊丹空港
  • 出発時間 18時
  • トラブル 機内の気圧の問題
  • トラブル発生場所 伊豆大島周辺
  • トラブル発生時間 18時半ころ(日航ジャンボ機墜落事故は18時24分)

なお、ANA37便は18時51分ごろに無事、緊急着陸。
日航ジャンボ機墜落事故(日航123便)では羽田への帰還を目指したが、18時56分に墜落しています。

三十三回忌

今年2017年は御巣鷹山での日航ジャンボ機墜落事故犠牲者の三十三回忌に当たります。
三十三回忌は仏教で「弔い上げ」といわれ、年忌の最後を指します。
五十回忌や百回忌などを「弔い上げ」とすることもあるようですが、この弔い上げをもって年忌法要は終了ということになります。
たとえ日航ジャンボ機墜落事故の犠牲者を直接知る人がいなくなったとしても、この悲惨な事故を忘れてはならないということを言われたように感じてしまいます。

スコーク7700

ところで、ANA37便が発した「スコーク7700」とは何でしょうか?

スコーク7700とは「スクウォーク・セブン・セブン・オー・オー」と読み、トランスポンダーに設置される4桁のコードのひとつで、その航空機の緊急事態をあらわす信号です。
squawkとは英語で「カモメ・アヒルなどがガーガー鳴く」または「大声でやかましく不平を言う」という意味です。

スコークとは

飛行機に搭載されているトランスポンダーは地上管制用レーダーなどから質問信号を受信し、それに対して4桁のコードを送信しています。
この4桁のコードをスコークといいます。

スコークの例

スコークの例をWikipediaから挙げてみるとこんな感じです。

  • 1200 VFR(有視界飛行方式)により高度10,000 ft未満[2]を飛行するとき
  • 1400 VFRにより高度10,000 ft以上を飛行するとき
  • 2000 コードについての指示を受けていない航空機がIFR(計器飛行方式)でレーダー管制空域外からレーダー管制空域へ入る場合の二次レーダーへの返信用。
  • 3333 整備用
  • 4444 整備用
  • 5555 整備用
  • 7500 ハイジャック
  • 7600 通信機故障(NORDO=NO RADIOとも呼ばれる)
  • 7700 緊急事態
  • 7777 (欧米)軍用機用コード。スクランブル発進した戦闘機が使用する。

過去の事故

日航機123便墜落事故でもスコーク7700が発せられました。
1985年(昭和60年)8月12日に起こった航空事故で、今からちょうど32年前のことでした。
死者数は日本国内で発生した航空機事故では最多の乗員乗客524名のうち死亡者数は520名、生存者は4名という最悪の事故でした。

同じように機内の気圧が徐々に低下していくトラブルは他の国でも起こっています。
穏やかに低下していく気圧に気付かないと、最悪の場合、機長の意識不明による事故となることもありうるのだそうです。
今回、ツイッターで「急降下した」とありますが、この急降下が機内の気圧低下を回避するのに効果的だったとみる専門家もいます。

日航ジャンボ機墜落事故を忘れずにいたいです。
今回の緊急着陸では全員無事で本当によかった。

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