NHKの「ブラタモリ」で人はなぜ富士山頂をめざすのかをやっていました。
朝陽を拝むため、火口の仏を拝むため、天候観測などその人その人で理由がありますが、気になったのは火口の仏を拝むため、というもの。
御来光とは本来、御来迎のことでこれをみるために富士山頂を目指すというのが興味深くありませんか。
御来迎とはブロッケン現象のことらしいです。
富士山には2度登りましたがブロッケン現象には遭遇していません。
どうしたら遭遇できるのか調べてみたいと思います。
朝陽を拝む御来光
御来光とは、高い山の上で見る日の出のことです。
日本で一番高い山である富士山の山頂でみる御来光は、非常に気持ちのよいものですよね。
夏に、御来光をみるために夜中に登る方たちの明かりが途切れることなく連なっているのをみると、どれだけの人数が朝陽を拝みに登っているのかわかります。
御来光、本当に人気があります。
火口の仏を拝む御来迎
富士山からの朝陽を拝みたいというのが現代の富士山に登る一番メジャーな理由ではないでしょうか。
もちろん、登山としての登頂を目指したり、レジャーとして、世界文化遺産に触れたいからなどの理由もあるでしょう。
山の多い日本では古代から山に神様が宿るとした山信仰がありました。
また、江戸時代には富士講という民衆信仰が興り、講の皆でお金を出し合って、その代表者が富士山に登ってくるというシステムがあったようです。
そして、富士山頂の火口の周りの峰を仏に見立てて拝むのだそうです。
「連嶽真形図」には、
- 一岳:地蔵菩薩
- 二岳:阿弥陀
- 三岳:大悲観音
- 四岳:釋迦
- 五岳:弥勒
- 六岳:薬師
- 七岳:文殊
- 八岳:寳勝如来
- 中央:大日如来
と、あります。
まるで曼荼羅のようですよね。
中央というのは火口なのだそう。
そして、まれに朝陽を背にして火口を向いているときに霧の中に自分自身の影が映るという現象が起こることがあります。
それをみた江戸時代の人々は「大日如来さまが現れてくださった」と信じたのでしょう。
これを御来迎というそうです。
ブロッケン現象
御来迎とは、太陽を背に受けたとき、目の前の霧に自分の影が映ってその周りに光の環がみえることをいいます。
つまり、ブロッケン現象のことですよね。
非常にまれにしか起こらないというブロッケン現象ですが、確実に起こる現象でもあります。
これはぜひみてみたいものです。
ブロッケン現象が起こる条件
wikipediaには、
尾根の日陰側かつ風上側の急勾配の谷で山肌に沿って雲(霧)がゆっくり這い上がり、稜線で日光にあたって消える場合によく観察される。wikipedia
とあります。
つまり以下の条件があるときに富士山頂でのブロッケン現象の可能性が上がりそうです。
- 富士山の火口に向かって朝陽を背に立つ
- そのときに、火口の奥側が風上である
- 火口にも霧が出ている
晴れていれば御来光が拝めます。
しかし、御来迎は晴れているだけでなく火口にまで霧がないと拝めないようです。
自分自身をみるということ
江戸時代の人はブロッケン現象でみた自分の影を大日如来とみました。
霧の中の影は自分自身でしかありません。
それでもやはり不思議な現象を目の当たりにすると、尊い気持ちがわき上がってくるのではないでしょうか。
自分の影の中に大日如来をみるとは、自分自身の中に仏が存在するという感覚を与えてもらえる素晴らしい経験なのかもしれませんね。
富士山にまた登りたくなってきました!