土用の丑の日はうなぎを食べたくなるもの。
しかし、今年の土用の丑の日にはうなぎの値段が高すぎて食べられなくなるかもしれません。
それよりも、もしかしたらお店からうなぎが消えてしまう可能性さえあるようです。
うなぎが高騰する理由、シラスウナギの不漁の原因、うなぎがお店にたどり着くまでの流れやうなぎの人工養殖について、土用の丑の日とは?などを書いていきます。
うなぎの稚魚が絶不漁
年々減ってきていたうなぎの稚魚であるシラスウナギの漁が解禁されるのは地域によって違うようですが毎年11月から12月。
それから1ヵ月半ほど過ぎましたが、今年は絶不漁なのだそうです。
ニホンウナギは2014年からレッドリストに載っています。
つまり、国際自然保護連合が絶滅危惧種に指定しているのです。
レッドリストには「絶滅」「絶滅の危機に瀕している」などのランクがありますが、ニホンウナギは「近い将来における野生での絶滅の危険性が高い」という「絶滅危惧1B類」に指定されています。
絶滅危惧種なのだから、絶不漁なのは当たり前といえば当たり前なのです。
不漁の原因
シラスウナギの不漁の原因は複合的なものなのだそうです。
- 乱獲
- 河川の環境破壊
- 地球環境の変化
この3つが大きな原因だろうといわれています。
しかし、詳しい原因はわかっていないともいいます。
上記の原因に加えて、今年はシラスウナギが乗ってくる黒潮が大蛇行しているため漁場である鹿児島県や宮崎県沖にシラスウナギが回遊しないという現象も原因のひとつのようです。
現在、昨シーズンの1%程度しか漁獲量がないということです。
どのくらいの不漁かというと、一人の漁師さんが5時間で2匹しか獲れなかったというほど。
価格の高騰
1957年に日本国内で200トンあったシラスウナギの漁獲量は約20年で激減し、1980年頃からは50トン以下で推移しています。
5年前も「絶不漁の年」といわれましたが、今年はそれよりもひどくなる可能性があるそう。
現在のシラスウナギの取引価格はキロ350万円。
うなぎ屋さんが仕入れる値段は1匹360円くらいから1000円くらいに値上がりしているのだそとか。
今年のシラスウナギの漁獲量がこのまま不漁に終われば、来年のうなぎも値上がり必至という事態になりそうです。
天然のニホンウナギが食べられるまで
うなぎって川底に筒のような罠をしかけて獲るのだと思っていましたが、それは昔の話のようです。
では、現在はどうやってうなぎがお店までたどりつくのでしょうか。
シラスウナギを獲る
鹿児島県や宮崎県などの漁師さんがうなぎの稚魚である4cmほどのシラスウナギを網ですくって獲ります。
シラスウナギは夜、海面に光を当てると光に寄ってくるので、そこを網ですくうという手法です。
池で育てる
獲ったシラスウナギは養殖場に売られます。
そして、養殖場で半年から1年ほど育てられます。
市場からうなぎ屋さんやスーパーに
養殖場で育ったうなぎは市場に売られ、うなぎ屋さんやスーパーなどに卸されます。
そして、私たちの口へと入るのです。
土用の丑の日って?
土用の丑の日という場合、たいてい「夏の」という言葉が略されていることが多いです。
というのも、土用は春夏秋冬の間にあるものだからです。
土用は立春・立夏・立秋・立冬の直前約18日間のことですから、夏の土用は立秋の直前約18日間ということになります。
土用の丑の日はその18日間の中にある丑の日のこと。
丑とは「ね、うし、とら、う・・・」という十二支のひとつです。
十二支は12日で一巡するので、18日間あれば1日か2日丑の日があることになります。
2018年の土用の丑の日
今年の土用の丑の日は2日間あります。
- 7月20日(金)
- 8月1日(水)
どちらか1日でもうなぎを食べて暑い夏を乗り切りたいものです。
今夏に食べるうなぎは今どこに?
シラスウナギは養殖場で半年から1年ほど育てられて出荷されるので、今年の夏にかば焼きになるうなぎは現在養殖場にいるか、またはシラスウナギとして漁獲されたか漁獲される直前くらいです。
割合としては、
去年漁獲されたもの 4 : 今年漁獲されたもの 6
となります。
ということは、去年漁獲されて養殖場で育っている最中のうなぎがいる今年は値上がりしたとしてもうなぎは流通しそうです。
問題は来年の夏かもしれません。
今年の漁獲量が少なければ、来年の夏にはうなぎ自体が姿を消す可能性すらあるのです。
「絶滅危惧1B類」から「野生絶滅」にランクが変更されるのもそう遠い未来ではないでしょう。
4月まではわからない
絶不漁とはいっても、シラスウナギ漁は4月ごろまで続きます。
単に回遊してくるのが遅いだけかもしれないという専門家もいますから、まだわかりません。
もしかしたら、あと3ヵ月間で例年並みに漁獲量が回復するかもしれませんし。
楽観視はできないけど、期待はしたいですよね。
完全人工養殖と大量生産
ニホンウナギの完全人工養殖は実現しています。
とても難しく、孵化したばかりの稚魚のエサがサメの卵ということでコストがかかりまくるらしいですが、それでも完全人工養殖に成功はしているのです。
ただし、日本中の消費量をまかなえるくらいの大量生産が実現するまでには至っていません。
土用の丑の日は「う」のつく食べ物を食べるとよいといわれていますが、できればうなぎを食べたいもの。
うなぎが幻の食材になってしまって、土用の丑の日は梅干しを食べる日になるなんてことにならないように願っています。
梅干しも大好きですけどね!