NHKの「ガッテン!」で低栄養について放送していました。
高齢になってくると肉をあまり食べなくなることで、たんぱく質の摂取量が減り、食事をしっかり摂っているはずなのに低栄養になってしまっていることがあるらしいのです。
低栄養ってこの飽食の時代に?と思うかもしれませんが、意外と高齢者だけでなくダイエットをしている若い女性などにも起こり得ることだそうです。
野菜中心のヘルシーな食事を三食しっかり食べているから大丈夫だと思っていませんか?
エネルギーとたんぱく質が摂れていないとどんなにお腹いっぱいになっても低栄養になってしまうのです。
階段の上り下りが辛かったり、歩く速度が遅くなったりしていませんか?
風邪をひきやすくなったり、傷が治りにくくなったりしていませんか?
このような状態になっていたら低栄養を疑わなければなりません。
でも、これって上手く活用すればダイエットにもつながるような気がしますよね。
特に「食べてしまうと太るのではないかとコワイ」という方にはよいかもしれません。
低栄養とは?
血液中のアルブミン値4.0(g/dL)以下である場合を低栄養といいます。(g/dLはグラム・パー・デシリットルと読む)
高齢者、特に高齢者だけで暮らしていたり独り暮らしの方などは低栄養に陥りやすいと言われています。
また、メタボなどを気にして必要以上に食事量を控えてしまったり、好き嫌いが多く毎食同じものを食べがちな方も注意が必要です。
血液中のアルブミン値が4.0(g/dL)以下となり低栄養状態になると、
- 体重減少が起こる
- 骨格筋の筋肉量や筋力が低下し、体力の低下や疲れやすいなどの症状が出てくる
- 感染を起こしやすくなるので、風邪になりやすく治りにくくなる
- 筋力が低下して動きにくくなるため、生活することに支障が出てくる
- 運動機能の低下から思わぬところで転倒し骨折する
などの恐れがあります。
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かくれ低栄養
太っている方や痩せているとは言えない方でも、脂質や糖質を多く摂っていてたんぱく質を摂らないと「かくれ低栄養」になってしまいます。
気付かないうちに筋肉量が落ちてきてしまうので、自分の体重を支える力がなくなってしまうと生活に支障が出てきてしまいます。
若い方でも過度なダイエットや摂食障害などで「かくれ低栄養」になってしまうことがあります。
また、最近では食事の代わりにお菓子を食べて済ませてしまうという若い人が増えているそうですが、そのような食生活では若くても低栄養に陥ってしまうでしょう。
アルブミン値
血液中のたんぱく質にはアルブミンとグロブリンの2種類があり、アルブミンは主に肝臓で作られるたんぱく質です。
アルブミンは老化により減少するとも言われていますから、高齢者は意識してたんぱく質を摂取することが大事になってきます。
しかし、高齢者でも血液検査をしてアルブミン値4.0(g/dL)以下の場合、低栄養かもしくは何かしらの病気である可能性を疑い精密検査をすることになるでしょう。
アルブミン値4.0(g/dL)以下で疑われる病気は
- 拒食症
- ネフローゼ症候群
- 肝炎や肝硬変などの肝臓疾患
- 腎硬化症や腎不全など腎臓疾患
- 悪性腫瘍
などです。
アルブミン値を上げるには
低栄養になってしまったときに、血液中のアルブミン値を上げるには、たんぱく質を摂取しましょう。
低栄養を予防するためにもたんぱく質の摂取は大事になってきます。
たんぱく質といえば肉をイメージしますが、肉のほかに魚、卵、大豆などもたんぱく質を多く含んでいます。
肉と言っても牛、豚、鶏などがありますし、魚もたくさんの種類が売られていますから、できるだけいろいろな種類の食材を摂るとよいでしょう。
100歳をすぎても現役の医師であり続け、さらに講演や執筆など精力的に活動されていた日野原重明さんも1週間に2回は肉を食べ、1週間に5回は魚を食べていたとのこと。
日野原重明さんの食事・睡眠・生活習慣についてはこちらをご覧ください
日野原先生を見習いたくても肉や魚が苦手な方もいるはずです。
その場合は、できるだけ肉と魚を摂るようにしつつも無理はせずに、卵や大豆製品などご自分の食べやすい食材からたんぱく質を摂るようにしましょう。
たんぱく質を多く含む食品
- 肉類 牛、豚、鶏、ハム、ソーセージなど
- 魚介類 魚、小魚、貝、いか、するめ、かつおぶし、たらこ、ねり製品など
- 卵類 鶏卵、うずら卵など
- 大豆・大豆製品 大豆、納豆、豆腐、味噌、高野豆腐など
- 牛乳・乳製品 牛乳、ヨーグルト、チーズなど
独り暮らしで「今日はテキトーでいいや」とご飯を食べずに済ましてしまいがちな方も、少しでも食べることを心掛けましょう。
さらに、たんぱく質が摂れていないなと感じたときは間食にチーズなどを食べるのもよいですよ。
たんぱく質を取りたくなる方法
10食品群チェックシートを活用しましょう。
1日分の食材をチェックして、10食品中7つに○がつけば合格とします。
○が付かないと「悔しくて」とか「後ろめたくて」などと気になってしまうので、気付けば低栄養を回避できているというすぐれもの。
高齢になってくると、10食品の中で一番○が付きにくいのが肉だとのことですから、ご自分の栄養の偏りを客観的に確認するためにもチェックしてみるとよいですよ。
低栄養を予防すると長生きする理由
年と共に身体が小さくなったり歪んだりするのは、たんぱく質が不足している可能性があるためなのだそうです。
ですから、長生きするためには、栄養失調(低栄養)と戦わなければならないのですね。
そのためにはたんぱく質とエネルギーを摂ることが大事になってきます。
だからといってお肉だけ食べていればよいという訳ではありません。
ごはんなどの炭水化物、野菜、そして肉や魚などのたんぱく質を日々の食事で摂ることで効率よくたんぱく質を体内に取り入れるようにしたいですね。
低栄養と疾患の関係
アメリカで65歳以上4116人を4年間追跡調査したところ、アルブミン値が4.3以上の人に比べて3.8以下の人は心筋梗塞などの心疾患になることが多いとわかりました。
男性で1.2倍、女性で2.5倍の発症率だったそうです。
日本での肺炎の調査では、65歳以上の50人の肺炎患者と、肺炎でない110人を調べたところ、アルブミン値が3.5以上の人に比べて3.5未満の人は肺炎の罹りやすさが9倍になることがわかりました。
アルブミン値が正常範囲以下だと疾患に罹りやすいという調査結果が出たのです。
肺炎で亡くなる高齢者が多いことを考えると、9倍という数字は恐ろしいものに見えてきますが、反対にアルブミン値を上げることができれば肺炎を予防できるということにもなりますね。
たんぱく質のお仕事
人間の体の中にあるたんぱく質は50万種類以上といわれています。
例えば、筋肉を動かすたんぱく質。
腕の筋肉や足の筋肉など自分で意識して動かすことのできる骨格筋と内蔵に存在する自分では意識して動かせない平滑筋、それに心臓を動かす筋肉である心筋がありますが、これらの筋肉を動かしているのが、ミオシンとアクチンと呼ばれるたんぱく質です。
免疫系のガイド役をするたんぱく質もあります。
例えば、肺炎球菌にくっついて、菌があることをマクロファージに知らせるためのガイド役のたんぱく質は肺炎を発症させないために不可欠なたんぱく質です。
このガイド役のたんぱく質を目印にマクロファージが近づいてきて菌を処理するので、ガイド役がいなければ菌をやっつけることができずに肺炎になってしまうのです。
また、血管を保護して丈夫でしなやかに保つたんぱく質もあります。
このたんぱく質が少なくなると、血管が固くなり動脈硬化などが起こりやすくなってしまいます。
このように、たんぱく質は私たちが健康に生きていくために常にがんばってくれています。
低炭水化物ダイエット
低炭水化物ダイエットでも肉は食べろと言われるようです。
むしろ肉を食べろと言われ、筋トレをするように言われるようですよ。
つまり、たんぱく質を摂取して筋肉量を維持していくということなのでしょう。
だとすれば、低栄養を予防することとしていることはほとんど同じですよね。
ダイエットといわれると身構えてしまうけど、低栄養を予防しましょうと言われれば食事が少し多めでも罪悪感は少なくて済みそうです。
そして肉を中心に野菜などをしっかり摂る食事をしていれば、お腹が空いて甘いものが欲しくなるということがなくなる可能性もあります。
ただし、極端なダイエットは危険ですので、ここに書いてあることを実践するなら日々の食事を少し改善する、ということに留めておいてくださいね。
本格的に低炭水化物ダイエットをしたい方は、それなりのサポートを受けながらしましょう。
!注意点!
最後に注意点です。
腎機能が衰えている方や腎臓病の方は、たんぱく質を摂りすぎるとよくないので、医師との相談の上、必要なたんぱく質の量を決めるようにしてください。