11月1日は「すしの日」です。
ということで、今日の「林先生のことば検定」は魚に由来する言葉は?という問題でした。
青 にべもない
赤 ぼられる
緑 皐月賞、ダービー、菊花賞
緑は「さかな」ではなく「さんかんば(三冠馬)」というボケ。
赤の「ぼられる」が「ボラ」に由来するのだと思ったのですが、「ぼる」は暴利(ぼうり)の動詞形で「ボラ」は関係ないそうです。
ということで、正解は青の「にべもない」!
「にべもない」についてと、膠(にかわ)についてを調べてみました。
にべもない
「にべ」は、スズキ目ニベ科の魚の名前で、漢字では鮸と書きます。
魚の体には浮き袋(鰾)がありますが、ニベはその浮き袋の粘り気が強いのだそうです。
そのため、接着剤の原料として使われていました。
「にべにかわ」とか「にかわ」と呼ばれています。
粘着力が強いというところから、「にべ」が他人との親密な関係を意味するようになりました。
粘着力→べたべた・・・ということでしょう。
そして、べたべたしていない、つまり無愛想なことを「にべもない」というようになったということです。
文章としては目にすることばですが、日常会話ではさほど使いませんね、このことば。
「にべもなく断る」なんて書かれていると、突き放したように断られたんだな・・・と感じてしまいますが、いかがでしょう?
今日の「林先生のことば検定」を見るまで、「にべ」が何なのかわからなかったけれど、なんとなくそういうことばとして感じていたんですね。
日本語って面白い。
ニベという魚
「鮸」と書いて「にべ」と読みます。
スズキ目スズキ亜目ニベ科に属する海水魚で、ホンニベとも呼ばれるそうです。
シログチという魚と間違われやすいですが、別の魚です。
白身魚として食べられるそうですが、あまり見たことないような?
このニベの浮き袋は粘着力が強いということで、浮き袋を煮詰めて作る膠(にかわ)という接着剤の原料なのだそうです。
今でも作られているのでしょうか?
膠(にかわ)って?
膠ってよく耳にするけど、原材料までは知りませんでした。
ウィキペディアで膠を調べるとゼラチンが出てきます。
食品であるゼラチンと接着剤が同じというのも不思議ですよね。
食品や医薬品に使われる純度の高いものをゼラチンといい、画材や工芸品に使われるものを膠と称しているようです。
動物の皮膚や軟骨、骨などには結合組織といって、周りとしっかり結合させる細胞があります。
コラーゲンなどがそうです。
ニベから作った膠が今でも使われているかどうかはわかりませんでした。
現在、和膠として使われているものの原料は鹿が最高級品なのだそうです。
食べ物
食べ物だと、ゼリーなどに入れるゼラチンだったり、煮こごりなどがそうです。
魚や肉を煮て放置すると煮汁が固まってぷるぷるになりますが、あれがつまり、コラーゲンってことですね。
楽器
膠は弦楽器の接着に使われているようです。
膠は木を接着するにはとても素晴らしい接着剤なのですが、高温多湿で溶けるのだとか。
弦楽器を車に放置すると楽器がバラバラになってしまうのだそうです!
なぜそんな危うい接着剤を使うのかというと、高温多湿で溶ける性質を利用して、調整や修理が簡単にできるようにしているのだそうです。
修理が必要な部分に蒸気を当てるとキレイに剥がれるという、まるで3Mの「はってはがせるスティックのり」みたいな感じなのかも(違うって)
弓
和弓を作るときにも膠は使われています。
といっても、今は膠を使う弓と合成接着剤を使う弓があるそうです。
弓の引き味、調整のしやすさなどに違いが出てくることから「ぜったい膠でしょ!」と膠を愛用している方もいるほどなのだとか。
工芸品
膠は工芸品にも使われています。
浮世絵に「漆絵(うるしえ)」という、墨に膠を混ぜて漆のような光沢を出すという技法があり、髪の毛などの黒色を強調させるために使われています。
仏像にも膠が使われています。
色を塗るときに顔料を膠で溶いて塗ったり、接着剤として使ったりします。
膠がいくら強力な接着剤だといっても、長い年月で劣化して色が剥がれたりしてしまうのだそう。
画材としての膠は今でも使われているようで、鹿膠の種類も三千本膠、粒膠、乾燥鹿膠、さらにゼリー状のものまで売られています。
それにしても、膠を溶かすのは注意書きがたくさんありますね。
長時間水に浸しておいたり、70度以上で煮溶かしてしまったり、冷凍庫で凍結させてしまったりすると接着力が弱まるのだとか。
「にべもない」という言葉で、ゼラチンから画材の膠まで知ることができました。
鮸膠は強力な接着力ですが、劣化風化したり高温多湿などでパッと剥がれてしまいます。
その状態こそ「にべもない」のでしょう。
人間関係も風化しないように気を付けたいものですね。