「彼氏」という言葉が生まれたきっかけってご存知ですか?
林先生のことば検定で知ったのでご紹介します。
「彼氏」の語源
「彼氏」というと「お付き合いしている男性」のことですよね。
少し年齢の高めの方だと「あの男性」というような意味合いで会話に出すこともありますが。
そんな「彼」という言葉ですが、古くは万葉集に登場しています。
その時の「彼」の意味するところは「あの人、あの」でした。
たそがれ
「誰そ彼(たそかれ)」は「誰、あの人?」という意味で、そこにいるのが誰なのかよく見えなくなってくるということから「黄昏(たそがれ)」の語源です。
黄昏時は薄暗くなって顔が良く見えなくなってきますよね。
人間ならまだ近づけば見えるからいいですが、黄昏時に「あの人だれだろう?」って近づいて行ったら幽霊だったりすることもありえますから、気を付けないといけませんね☆
真面目な話、車や自転車でも周りが認識しづらい時間帯でもありますから、早めにライトを点けましょう。
本来の「彼」
話を「彼氏」に戻します。
古来の日本では「彼」に性別はありませんでした。
ですから、源氏物語などでは女性に対しても使用しています。
その昔の日本はあまり男女の差がはっきりしていなかったというか、ジェンダーがしっかり定まっていなかったというか、おっとりした時代だったのではないかと思えて仕方ありません。
きちんとその時代のことを勉強したわけでないから正しいかどうかわかりませんが。
「彼女」
明治時代になると、西洋の小説などを訳す際にheとsheの区別をつけなければならなくなります。
そこで、heを「彼」、sheを「彼女」としたのだそうです。
「彼女」とは「彼の女」というような意味で用いられたのではないでしょうか。
「彼氏」誕生
「彼氏」という言葉が生まれたのはさらに後の昭和になってからでした。
徳川夢声さん(1894~1971)が作ったとされています。
徳川夢声(とくがわ むせい)さんは弁士、漫談家、作家、俳優であり、ラジオ・テレビなど多くの場で活躍された今で言うマルチタレントのような方です。
その徳川夢声さんが「彼」に「氏」を付けた理由は、「彼女」と字数を合わせたからなのだそうです。
徳川夢声さんが「彼女」と「彼」の対話を書こうとした時、どうもバランスが悪いということで「氏」をつけたのだとか。
「彼氏」という言葉は昭和4年の夢声さんの著書に初めて登場し、またたくまに流行語になりました。
また徳川夢声さんは「恐妻家」という言葉も作っています。
恐妻家の歴史が古くなかったとは驚きです。